2016年6月14日火曜日

第59回五大学レガッタ シニア招待レース


平成28年(2016)4月29日
場所: 戸田オリンピックコース
天候: 晴、強風(北西) 


北西の強い風が吹きつけるラフコンディションの中、レースは行われました。碧水会は、追い風が幸いして9分を切ることはできたものの、去年と同様にかなり引き離された最下位の屈辱を味わう結果となりました。

この戦績を受けて、エイトの練習は根本的に見直す必要があるとして検討した結果、当面の練習はナックル乗艇をメインとしてローイングの基本をみっちり鍛え直すことになりました。

〔動画〕 https://www.youtube.com/watch?v=ptuIYYrvNhU
       映像は1位の佐鳴漕友会に焦点を当てたものですので、
       残念ながら碧水会の出番はほんのわずかです。


〔 エントリー記録 〕


シニア招待レース 8+ 2000m
碧水会クルー
C吉田新一S44 S野村祐造H03 7小林良夫S52 6中平法生S57 5芦澤正洋H02
4小寺浩二S60 3渡部義明S45 2高橋康夫S52 B高島洋一S56


2016年5月9日月曜日

クルーのスウィングと調和するために


漕艇(ローイング)にはときおり、定義しがたい何かが起きる。多くの漕手は、たとえ勝利をおさめたクルーでも、その正体を知ることはない。たとえ正体がわかったとしても、それを再現できるかどうかはまた別の話だ。それは〈スウィング〉と呼ばれる現象だ。8人の漕手がすみずみまで完璧に他の漕手と動きをあわせ、完全な一体となってオールを漕ぐときだけに起きる、類まれな出来事だ。( ダニエル・ジェイムズ・ブラウン )

 


 

スウィング
『ヒトラーのオリンピックに挑んだ若者たち』
ダニエル・ジェイムズ・ブラウン、早川書房 (2014/9/25)p248

これはただ単に、8本のオールがぴったり同じタイミングで水に入ったり出たりするというだけの話ではない。8人の漕手の16本の腕はいっせいにオールを引き、16の膝はいっせいに曲ったり伸びたりしなくてはならない。8つの胴体はいっせいに同じタイミングで前へ後ろへと傾き、8つの背中は同じタイミングで曲ったり伸びたりしなくてはならない。ほんのわずかな動作、たとえば手首の微妙な返しに至るまで、漕手全員がたがいを鏡に映したように完全に同調し、端から端まで一糸乱れぬ動きができたとき、ボートはまるで解き放たれたように、優美に、すべるように進む。その瞬間、初めてボートは漕手たちの一部となり、それ自体が意思をもつかのように動きはじめる。苦痛は歓喜に変わり、オールのひと漕ぎひと漕ぎは一種の完璧な言語になる。すばらしいスウィングは、詩のようにさえ感じられる。

スウィングはしかし、ボートのスピードには必ずしも直結しない。個人のミスで全体のリズムが崩れないおかげで、ストロークに勢いがつくのは事実だが、それでスピードが急に速くなるわけではない。スウィングの効用はそれよりも、漕手が力を温存できる点にある。つまり、比較的ゆったりしたピッチでも最大限効果的にボートを前進させることができるのだ。ピッチは速くとも効率の悪いストロークと比べれば、むしろスピードが出ることも少なくない。そしてレースの最後に控える、内蔵が引きちぎられ全身の筋肉が悲鳴を上げるような苛酷なスプリントのために、エネルギーをとっておくことができる。ストロークのピッチを上げつつスウィングの状態を保つのは、気が狂いそうに難しい芸当だ。ピッチが上がれば、ひとつひとつの細かい動作をより短いインターバルで行わなくてはいけない。だから、スウィングしながらピッチを上げるのは、どこかの時点でほぼ不可能になってしまう。だが、この理想に近づけば近づくほど、いいかえれば速いピッチのストロークでも完璧な同調を保つことができれば、そのボートはまるで違う舟のような動きをする。そして、そういうボートこそがレースに勝利する。